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​令和6年産スタート 波乱しかない

令和6年9月16日

さて、令和6年産の収穫が中盤戦を迎えた9月中旬です。当初、メディアに対して、

9月中旬には、スーパーなどの販売店での販売が行われるようになるとの回答を8月中旬から行ってきましたが、

予想通り、店頭にお米が並びだしました。

しかしながら、当初4月の段階で予想していた60kg1500円UPとはならず、コメ不足を報じたメディアの影響で相場が跳ね上がり、現在農協の農家さんへの仮渡金額ベースで60kg3500円~8500円のUP、

農協さん以外の集荷業者の価格だと、60kgあたり6000円~13000円のUPとなっています。

今回のメディアの罪は大きいと思います。おそらくですが、スーパーの安売りがなくなったきた6月ごろから、

価格の上昇が顕著になりました。スーパーの棚が空になっていることを報じたことで、消費者の購買意欲がパニック状態になり、POSデータでは、1.5倍の販売量を8月に記録しました。

農林水産省としては、6月末の民間在庫量156万トン、当初予想需要量682万トンに対し月の量で換算すると

56.8万トンの需要見込みでしたので、8月末の民間在庫は42.33万トン残る計算をしていた。

そして、7月末~8月初旬に九州の新米が出荷されて​、なんとか品切れになることはないと予想していた。

これが裏目に出たことで、想定以上の高値水準で米の取引が行われ、またそれは、民間取引と無関係を装っているが、実際、農林水産省は、今回の高値相場を容認している。

無論、5年産作況が101だったこともあり、政府備蓄米放出の要件に達していない、またこの端境期に放出することは特定の卸売業者の利益供与となる可能性が大変高く、(特定の卸売業者が転売によって利益を得る可能性が高い)加工用途米のように業界団体向けへの放出には応じるものの、今回、農林水産省が、完全に備蓄米放出時期を逸してしまったことは​大きな責任があるように思う。なぜなら、私の主張にあった、ふるい下米19万トンの不足に関しては承知していたはずだからだ。(最低10万トンを昨年秋または年末に放出すれば問題はなかった)

お米の価格はどう決まるかに話を戻す。従来だと、各地の農協さんが、農家さん向けの仮渡金を発表し集荷を始める。その価格をベースに集荷業者、卸売業者が買い取り価格を決定する。しかし、令和6年は異なる。

お米パニックを起こしてしまったため、大手スーパー向け納品分の数量確保に動いた卸売が、農協さんの仮渡金額が決まる前から生産地で青田刈りを行った。つまり、生産者の庭先で、収穫できたら『この金額』で買いますと、従来の価格からは想定できない金額を提示したことにより、農協さんは、集荷率が下がることを恐れて、『この金額』に少しでも近づけようとした。このことで、お米のベース価格が、昨年よりもはるかに高いレベルになってしまった。令和6年9月中旬現在でも、全国各地でかなり高価格で集荷する卸売業者を確認しています。

​その卸売業者は、その集荷をしつつ、農協との大きな契約も持っており、市場規模2兆円そこそこのコメ市場の

相場操縦をするために行動しているように思えてならない。また、農林水産省も容認しているように感じる。

あとは消費者の需要動向次第と、全国の収穫量がどのレベルになるかで、今後の動きが出てくると思うが、

実際のところ読み切れない。

​この後の展開は、どうなるのか?ある程度予想できているが、またの機会に書こうと思う。

​直近のコメ事情について

令和6年4月22日

4月15日のコラムに書いていますが、それに伴う令和6年産について考察してみる。さて、

60㎏あたり約1500円程度値上がりすると予測していますが、

あくまで予想値なので変動することは承知の上で読んでいただければと思います。

大阪府が令和6年6月より開始予定の「大阪府子育て食費支援事業の3回目」。

大阪府だけではありますが、普段お米を購入しない消費者(=縁故米、通販、ふるさと納税など)

までお米を買う形になり、通常の流通しているお米がさらに不足感がでると考えられる。

ある関係筋の話、関西エリアに関しては特に卸売業者の在庫がひっ迫しているとのこと。 

私は、無理やりでも6月からの開始を阻止するため、

大阪府子育て食費支援事業の開始時期を6月から9月への変更を、大阪府議の皆さんに資料を配布し

また、日刊ゲンダイさんにもお願いして記事にしていただきました。

タイトルはちょっと無理のあるものでしたが、お願いしている身でそこまでリクエストできません

でした。

それくらい捨て身の覚悟で今回の記事を書いていただいたのですが、今のところ変更なしとのこと。

一方、別の情報筋では、農林水産省への「政府備蓄米」放出の要請は却下されていますので、

日本政府が米価の上昇を容認していると考えられます。

ただ、この米価上昇は値幅が度を越えており、逆に消費減を生み出す可能性もあります。

日本の食料の基本である「米」。今後生産者の減少がさらに進むことが予想されることで、

農林水産省は、生産調整をしなくても自然生産減すると、たかをくくっているとの話も聞いています。

はたしていいのでしょうか?

近い将来の災害、戦争、など様々予想される日本。

日本の食糧安全保障上、農家を守っていくためにはどうすればいいのか?

価格の上昇はある程度は仕方ないようには思うが、末端経済の可処分所得が物価上昇に追いついて

いないことを考えると、極端な価格上昇は、消費減を引き起こし最終的に農家に跳ね返ること

をマクロ的に理解できている方はどれだけいるんでしょう?

​​

農家の皆さんでよく聞く話、「民主党政権の個別所得補償」が一番明瞭で助かったと。

基礎的な所得を保障されるほうが農家としての維持が少しでもましになるという意味では、

​国の根底である食料を作る方々は、「半公務員」の扱いも視野に入れてはどうかと考える。

いま、お米は足りない状況

令和6年4月15日

令和5年産が実は足りない状況になっています。
昨年11月には、様々な産地からの情報でわかっていましたが、市場の混乱を避けるため
表面化するまでこちらに書き込んでいませんでした。

主原因
①網下、中米、その他くず米(=以降 安価米 と略す) 収穫高の大幅減
この情報を察知したのは、令和5年9月末
新潟県内の不作の調査をしている段階で判明しました。
その数量が、平年の半分でした。

さて、これが何を意味するか??

令和5年産は安いコメがない!
つまり、学校給食や、自衛隊、公立病院

など、入札で契約するお米に関して、
各卸業者が、安価米を主原料としていたため、下記の通りの動きをします。

令和5年産の新米は、4年12月以降に行われた、東京都の低所得者向けの米の配付事業を発端とする
相場上昇からスタートしました。
そこで、大手卸売り、特定米穀業者は、早急な安価米を抑えにかかります。
しかし、全国各地で安価米の数量が少ないことが判明し、
11月ごろから関東のB銘柄 あきたこまち、彩のかがやき、ふさおとめ、ふさこがねなどを抑え
枯渇すると、新潟3等米コシヒカリ、関東コシヒカリ、東北コシヒカリ、ひとめぼれにシフト
といった具合に相場上比較的安い銘柄から買われ、本来主食用で流通していたものが減少し
数量的にタイトになった。

②西日本各地の晩稲(収穫が遅い時期の品種)の収量減
令和5年は、夏以降も高温が続き、生育不良を起こした米が多い事に加え、
カメムシ被害も多く、これらの要因で、きぬむすめ、にこまる、ヒノヒカリといったお米の収穫量が少なくなった。

どうしても飲食店向けに使用するお米で必要とする業者も多く、
京都産では、契約数量が半分にされたところなども情報としてあがってきました。

結果、
作況指数は100を超えてはいましたが、実際の数量は
令和5年産+輸入米(ミニマムアクセス米) < 需要量
となってしまい、令和6年1月の時点で、大手卸売りの推計で約5万トンの不足が予想されていました。

作況指数そのものの信頼性は、以前より不確実な印象がありましたが、
今回露呈した形になります。

また、作況指数を出してしまった農林水産省としては、
いまさら『米不足』とはいえず。いまだ私が書いた記事以外で、『米不足』を報じたメディアはありません。

米が不足すると、市場経済ですので必然的に価格は上がるのですが、
実際、流通するお米の数量がありませんので、
今後7月末までかなりタイトなまま推移する見込みです。

消費者の皆様に影響が出るのが、おそらく早くて6月中旬頃
実際、業務スーパーなどでは一番安いお米の価格上昇がすでに始まっており、
こちらについては、輸入米が流通しだす6月ごろに一旦鎮静化するかもしれませんが、
もともと、超大手卸売が、大手飲食チェーンに先に供給を始めることは容易に想像されるため、
そこまで安価な輸入米ではないと思います。

またこのような状況なので、早期米のコシヒカリの相場は、昨年比60㎏で1500円程度UPすると
予想され、また不足していた米業者が一気に買い付けを行うので、
民間相場が異常な価格になることも予想されます。

しかしながら、令和6年1月~3月の相場を見ていた一部の生産者さんが、
加工用途、飼料用途から主食用に栽培を切り替えてくる可能性が高く、
令和7年初旬に米の価格が暴落する可能性をはらんでいます。

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